第2回Withコロナ時代。どう考え、どう行動する？

仲木

藤野さんはコロナウイルスの感染拡大による世の中の変化をどう捉えていますか。

藤野さん

何というか、時間がはやまった気がします。非常事態により色んなことの変化を促進するきっかけになりました。
例えば感染拡大の懸念によってリモート経済が広がった、それに伴いハンコの廃止が検討されるようになった…などなど。恐らくハンコってやろうと思えば廃止はできると思うのですが今まできっかけがなかったんですよね。結果として新型コロナが業務効率化のきっかけになった。

仲木

ああ、確かに。

藤野さん

それからリモート経済ができることによって、多くの人が色んなことを考えるようになったと思います。今まで仕事でずっと会社にいた人がほとんど自宅にいるようになったり、仕事で忙しくて家族との時間を取れなかった人が家族と一緒にいる時間が長くなったりと生活面での変化があった。
そうすると、「本当に大切なものはなんだろう」という問いに向き合わざるをえなくなったんですよね。そのこと自体はとても良いことなんですが、向き合った結果が二極化している気がするんです。

仲木

うん、わかる気がします。希望最大化戦略を取れる人とそうでない人がはっきり分かれている。何か顔にでてます。穏やかな人とそうでない人はほんまちゃう（笑）

藤野さん

向き合った結果「しあわせだな」と思う人と、まったく逆に「こんなに自分は追い詰められていたんだ」「大切なものは何にもないんだ」って思う人が生まれた印象です。
この新型コロナをきっかけに自分と向き合ったことで結果的に幸福感が増した人と苛立ちや絶望が増した人、もしくは利他的な方向に向く人と優越的地位にあることで傲慢になる人というように、極端に分断されてしまったと感じます。
アフターコロナがいつ来るかはまだわからないけれど、アフターコロナの社会というのはビフォアーコロナの社会とはまた違う社会が待っているだろうなと思います。

仲木

そういう、社会が大きく変化する中で個人個人がどう生きるか。これは結構大事なテーマですよね。

藤野さん

そうですね。良くも悪くも変化する社会に対してどう向き合うのか。
これは個人個人が「どう意識を持つのか」が大事だと思うんですよ。僕らが主体的な一個人としてどう向き合って、どう社会に対してコミュニケーションをとっていくのか。

仲木

社会に対する向き合い方と、自分の意識ですか。

藤野さん

ええ。これは投資家的なやり方で考えられると僕は思います。
要は変化する社会に対して自分自身が1人の参加者として社会に対してコミュニケーションしていき、世の中を動かそうとするのか、それともあくまでも自分自身は無力な一個人として木の葉のように漂い、自分を被害者と思い込み搾取されていくのか…という意識の持ち方でその後の人生は物凄く変わってくると思います。

仲木

なるほど。そうですね、自分を主語にして社会に参加できていたら不安というのは恐らく消えていくんちゃうかなあと私は思っています。そしたらきっと不安ではなく課題がみえてくるようになり「じゃあこうやって解決していこう」って言えるんちゃうかなって。

藤野さん

うんうん。僕は投資家というのは単なるお金儲けをする人ということではなく、自分を主人公として世の中をみることができる人だと思っています。
投資家は「ここにお金を投じれば、今よりも良くなるな」と思うようなところに一票投じることができる。そういう風に主体的に考える人がふえて、良くなる期待があるものにお金が集中すれば、描いた社会が実現していく可能性がある。自分を主語に世界を組み替えることができるのは、すばらしいことだと思っています。

仲木

良いですね。近い表現で「私たち一人ひとりは世の中のCEO」って言葉があるのですが、私はこれがすごく好きです。どういうことかというと、C＝Customer（消費者）として好きな商品を選んで投資します。E=Employer（経営者）もしくはEmployee（従業員)としてはたらき社会に投資します。従業員の場合はいい会社を選ぶ、経営者であれば自らいい会社を創るってことになる。最後にO=Owner（オーナー）としていい会社を選んで投資する。
つまり、自分で考えて行動できる人は「生きているだけで投資家」ってことになりますね。