第1回

レオス・キャピタルワークスができるまで(つづき)

成功している経営者が共通して持っているもの

藤野さん:

そういうことを体験するうちに「自分もあっち側に行きたい」と思ったんです。
「こっち側」とは違う。こっち側は金融とかファンドマネージャー(投資信託の責任者)、アナリスト(投資する企業の調査をする人)とかの世界。「あっち側」は、起業家とか経営者の世界。その間に川があるんです。
2、3年経ってから僕は経営者の方と商談するとき、自分との間にある机が川に見えはじめたんですね。

仲木:

机を隔てて世界が違うんだと。

藤野さん:

そう、机が川。川の彼岸の人というか、川の向こうの人みたいなね。あっちに行きたいなと思って。
どうやったらあっちにいけるんだろうと思って。で、段々とそういう観点で質問するようになってきたわけです。
「この人、どうやって起業できたんだろうか」とか。

仲木:

ああ、質問する内容も変わってきたわけですね?

藤野さん:

そう。段々変わってきた。
「その人を知りたい」「その人の方法を知りたい」「起業のポイントを知りたい」になっていったんです。
もちろん投資をする・しないっていうのはあるけども、この人はどうやって起業まで辿り着けたのかを質問するようになってきたら、益々のめり込むようになってきて。

そうしたら、「経営者にはいろんな人がいるな」とわかってくる。そして、必ずしも頭の良さが大事なわけじゃないなと。イケメンが多いかっていうと、ほぼいない(笑)
じゃあ、昔からお金持ちだったのか?「お父さんとお母さんが金持ちで、裕福に育ちました」っていう人はね、これもほぼいないですね。どちらかっていうと、中の下、下の下ぐらいの人が多いんですよ。

そうすると、学生時代とかに思ってたことがいろいろ覆されていくわけですよね。
「もっとイケメンだったらもっと素晴らしい人生があったはずだ」、「うちの家、もっと金持ちだったらいいのに」とか言って、なんとなく今の自分がなんかパッとしないのは、“イケメンじゃないからだ”とか、“お金がないからだ”とかいうふうに思ってたんだけど。成功している人で、そもそもそういうモノを持ってる人って実はいないんだって。

対談
藤野さん:

じゃあ何が大事なんだろうと考えたら、“勇気”なんですよね。
挑戦者、チャレンジ、一歩踏み出す力っていうのがすごく大事だなというのがわかりました。

あとは、よく言うんだけど「穴を見つけて、穴を埋めることが起業だ」と。
“穴”というのは“社会課題”のことです。この社会課題に対して、社会的な解決をするのが穴を埋めること。穴を見つけて、穴を埋めた人が成功しているわけですよ。

そこにはイケメンも関係ないし、お金持ちかどうかも関係ない。勇気をもってチャレンジできるかどうかってことが大事だなということに気がついたわけです。
そんな気づきを得ていくうちに、いつか起業したいなというのを3年か4年後ぐらいに思い始めた。

仲木:

入社して3、4年後ってことですね。

藤野さん:

そうです。
ファンドマネージャーとして成功しようっていう想いもあったけど、それよりも起業したいなと。

じゃあ、どうやって起業したらいいのか、経営者に出会ってきた経験から考えてました。多くの人がたまたま辿り着いたところにビジネスチャンスを感じて起業していたんですよね。
後から振り返るとまさに運命かの如く繋がっているように感じるけど、根本的には、“たまたま”なんですよ。そこから切り拓いていった方が良いんだと気づいたんです。

たとえば靴下屋(タビオ株式会社)をやっている経営者の方(越智勝寛氏)とかも、たまたま親が貧乏で、靴下の卸に丁稚奉公に行かされたっていうところがきっかけなんです。
だから、初めからそこにビジネスチャンスがあると思ったわけじゃない。大体の人は、ただの縁や運で、おかれた場所で、そこの中にある穴を見つけたという人が多いですね。

人生って、ものすごく偶然に支配されているんです。
なにかビジネスモデルを考えて、いろいろチャンスを探して、そうしてビジネスオポチュニティのあるところに挑んでいく人は、多そうなんだけども、実際にはほぼ見たことがなくて。根本的には行き当たりばったりの中で何かを見つけてきた人が多いというのは面白いですよね。

仲木:

それすごく面白いですね!多くの経営者を見てこられた藤野さんだから気づけたことですね。

藤野さん:

そう考えていくと「俺も同じだ!」って気づくんです。
行き当たりばったりで投資の会社に来てしまった。だけどそこで仕事が面白くなってきて、「起業したいなら、この仕事そのもので起業しちゃえばいいんだ」って。そう思ったのが社会人になって6、7年目くらいのことでしたね。
そこでまずは外資系でファンドマネージャーとしての知名度を上げようと思ったのと、国内系よりは給料が高いから、起業資金を稼ごうというのもあって野村アセットを辞めたんです。

藤野さんがみつけた“穴”

藤野さん:

もう1つのストーリーがあるのは、ファンドマネージャーとしてやっていたときに、“穴”が見つかったんですよ。
穴を見つけて、穴を埋めるっていうのが起業だという話は先程もした通りです。どう穴を埋めたいかというと、“顧客本位の投資信託を自分でやる”ってこと。実は、僕が一番はじめに穴に気づいた人というわけではないんですけどね。

最初にその穴を見つけたおじさんがいるんですよ。それが、澤上さん(さわかみ投信社長:澤上篤人氏)。
澤上さんが投資信託の直販というところで、「お客さま本位」の、今でいうと「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)」という言葉があるけど、それを体現しようと思った最初の挑戦者が澤上さんなんですね。僕は「ここに穴があるじゃん」と見えたんです。この穴がめちゃくちゃでかい。太平洋ぐらいに大きな穴が開いてるみたいに思えたんです。だから、澤上さんが結構成功したとしてもまだ小さな小舟で、穴はまだまだ無限、無尽蔵にあると思っていた。

一方でこの穴に既存の大きな証券会社、巨大な漁船みたいなものが入ってくる気配がなかったというのもあって。だから「本当にお客さまのためになる理想的な投資信託をつくる」ことで勝負できる余地があるなと。
澤上さんがさわかみファンドをつくったのが1999年、僕たちもそれを追いかけて、2003年にレオス・キャピタルワークスを作りました。

仲木:

起業までのストーリーめちゃくちゃ面白いです!

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