第1回

「個人の資産形成を日本に根付かせたい」想いの“共有地”コモンズ投信(つづき)

会長の渋澤さんと出会った意外な場所とは?

仲木:

それはあかんですね。その後、コモンズ投信をはじめることになったんですよね。渋澤さん(コモンズ投信会長)とはどこで出会われたのですか?

伊井さん:

メリルに在籍していたころに、社外の人たちと交流するようになったんです。ちょうどインターネットが出てきて、金融情報がインターネット上にも広まっていった時期で、みんながブログとかを書きはじめていた。
その中の一つに渋澤さんが仲間何人かとやっていたVMJ(Virtual Markets Japanの略)というコミュニティサイトがありました。当時は名だたる金融アナリストが結構参加していました。「雇用統計は予想よりも強かった」とか「ドルが買われるんじゃないか」とか、各自の考えを共有する場で、今でいうSNSみたいなサイトです。
僕もそこにユーザーとして参加していて、「哲郎さんってコメントがいつもいいよね」って管理者だった渋澤さんたちが言ってくれていた。その頃からのつながりです。
ネットの世界でしたが、たまにオフ会もやるわけですよ。そういうときは僕が幹事をやったりして。勉強会やセミナー、金融庁に政策提言したりしましたね。

仲木:

ネットでの出会いがはじまりとは先進的!…というか政策提言もしてたんですか?

伊井さん:

「金融業界を変えたい」という想いが強かったんです。
僕ら世代が当時30代半ばくらいで、ちょうど中間管理職だったんですよね。金融業界って、金融庁がいいと言ったことを右に倣えでやるから、みんなお客さまよりも金融庁のほうをみて仕事をしていたんです。山一證券の破綻もそうですが、日本長期信用銀行とかが破綻して金融危機になっているのに、僕らより上の団塊の世代の人たちはもう戦わないわけです。一方で、僕らより下の若い20代の人たちはみんな不安で困っている、「これからどうなるんですか?」って。
そういう現状に対して、「なんとかせんといかん」という想いを持ったメンバーが集まって活動していました。
ただ、金融業界はそんなかんたんに変わらなかった。

対談

「投資信託なんて大嫌いだった」
…でも目指す目的地は一緒。

伊井さん:

そこに危機感があって、もう自分で起業して証券会社をやろうかなと考えていました。メリルみたいに“個人のお客さまのための資産づくり”ができる証券会社をやりたいと。
そういう時に、渋澤さんから電話がかかってきて「ちょっとさ、さわかみ投信みたいな生活者のための資産形成ができる直販投信をやりたいんだけど」と。
それがコモンズ投信の立ち上げにつながります。

仲木:

業界を良くしていきたいという有志メンバーの想いが詰まっていますね。渋澤さんから電話かかってきたのはいつですか?

伊井さん:

2005、6年くらいですかね。
ただはじめは「ぜひやってよ。渋澤さんがやるならいいファンドができる。僕は自分の証券会社を作って責任もって売るから。」って言ってたんです。
僕、証券会社にいた頃は投資信託が大嫌いだったので(笑)

仲木:

僕も銀行員1年目は投資信託が嫌いでした。

伊井さん:

証券会社にいたら投資信託に頼るまでもなく自分で株も債券も選んでお客さまに提案できるし、そもそも投資信託自体が昔は本当に酷い商品だらけでしたよね。言い方悪いですけど、“ゴミ箱”みたいな商品ばかりの時代もあったので大嫌いでした。
ただ、いい商品がないだけで、個人からお金を集めてプロの運用を享受できるという仕組み自体は良いと思っていた。
だから色々な勉強会の中でさわかみ投信のオフィスにも定期的に行かせてもらってて。たまに澤上さん(さわかみ投信創業者:澤上篤人氏)が来て、「お前たちもやれよ」みたいにつつかれていました(笑)

仲木:

そうでしたね(笑)「いつになったらやるんや」と。

伊井さん:

そうそう。「これから他もやるぞ。中野(セゾン投信社長)もやるぞ。」って言われていました。
それで、よく考えていくとやりたいことの手段は違うけど実現したいことは一緒なんですよね。
僕は証券会社で、渋澤さんは投資信託の運用会社。手段は違うんだけど、“個人の資産形成をちゃんと日本に根付かせたい”という“想い”は共通していた。
同じ山を登るんだけど、ルートが違うだけで目指しているところは一緒。ならば一緒にやりますか、となり2007年にコモンズ投信を創業しました。渋澤さんから、「こういうのやりたいんだけども、僕は経営できると思っていないので、経営は伊井さんがやってくれない?」と言われていて、僕が社長になりました。

仲木:

同じ“想い”のもとに仲間が集っていく。「共有地(コモン・グランド)」を名前の由来にしているコモンズ投信らしい創業ですね。

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