わたしとつみたて

つみたてで資産づくりをしている方に、tsumikiのスタッフがお話を伺います。

「日本で10代のセーフティーネットを再構築したい」“寄付”がこの想いを実現へと導いてくれている。

第14回

「日本で10代のセーフティーネットを再構築したい」
“寄付”がこの想いを実現へと導いてくれている。

コモンズ投信の第6回SEEDCap先、認定NPO法人「D×P(ディーピー)」の代表、今井紀明さんに「寄付」「お金の使い方」についてお話をおうかがいしました。
今井さんの考える寄付・投資とは?興味深いお話を聞くことができました。
※SEEDCap(シードキャップ)……投資信託「コモンズ30ファンド」の信託報酬の1%相当を寄付する、コモンズ投信が独自でおこなっている寄付プログラム

tsumiki証券前CEO 寒竹明日美

インタビュアー:tsumiki証券前CEO 寒竹明日美

※この記事は2020年2月に取材したものです。

子どもたちに学びの場所や居場所を。

寒竹:

本日はお時間をいただきありがとうございます。それではまず、D×Pさんの活動の内容を教えていただけますか?

今井さん:

一言で言うと10代の不登校の子たちのセーフティーネット作りです。活動は全国でおこなっていて、関西・関東・札幌の夜間定時制高校を拠点にして、授業を通して生徒と関わりを作っています。ボランティアさんも400人くらいいて、全4回、1〜2ヶ月間のプログラムの授業に毎回参加します。

寒竹:

そんなにたくさんいらっしゃるんですね。

今井さん:

はい、ほとんどが社会人ですね。10代で困難を抱えている子たちと関わるためには、まずは大人との関係を作ることが必要だと思っているんです。信頼関係をつくってつながりができてから、やっと仕事のことを考えられたりします。他にもシェアハウスとして「リバ邸」という”住む場所”も提供しています。

人とつながりづらい生徒がたくさんいますが、なかなかアプローチができないんです。そこを多くの方から寄付をいただいて仕事にもつなげています。
活動場所としては、現場でつながれる”学校”と、ネットでつながれる”LINE”、どっちもやっていて、子どもたちの学びの場所や居場所を作っているんです。

寒竹:

お子さんたちの年齢はどのくらいなんですか?

今井さん:

15〜19歳が主です。今年は1,200人くらいの生徒と出会ってきました。これまででいうと、4,000人くらいの子どもたちと関わってきましたね。
学校の手が行き届かない範囲の子たちを、僕たちがサポートし就職につなげたこともあります。引きこもっている子に在宅ワークを紹介し、今働いている子もでてきています。

イラクでの人質の経験が活動のきっかけになっています。

寒竹:

D×Pの活動をされるきっかけって、何かあったんですか?

今井さん:

ひとつはイラクでの人質の経験。イラクに行った時に人質になって、拘束された経験があるんです。
日本に帰ってきてからパニック障害を引き起こし、活動的だった少年から、閉じこもらざるを得なくなった、っていうのが僕の体験です。そういうのが4〜5年続きましたね。19歳〜23、24歳まで。

その後回復して、就職する前にザンビアに行ったんです。学校現場とかを3か月くらいみて、日本の状況の方がしんどいなっていう印象をもったんです。そこが原点になっています。

寒竹:

そこから”高校生”を支援しようと思ったのはなぜだったんですか?

今井さん:

15〜19歳って見過ごされやすい世代なんですよね。学校現場を色々回っていたんですが、「いじめを受けた、先生や大人から否定された、親と合わない」という生徒の話を聞いて、僕も周りから否定された経験があったので、状況が重なったんです。周りから否定される経験が極めて似ていた。そこで何かしたいと思ったのと、そこに対して何かしているNPOや会社が少なかったので、2012年に動きはじめたんです。

対談

「否定せずに関わる」ことで生まれるつながり

寒竹:

そこからここまで8年くらい活動を進めてこられたということですね。HPをみて、「否定せずに関わる」という言葉が印象的だったんですけど、それは「自分がされたことをしない」という想いが込められているんですか?

今井さん:

これはD×Pのマインドのひとつですね。どこに行っても使えると思っていて、社会が大切にした方がいい概念だと思っています。
たとえ生徒からむかつく態度をとられたとしても、初心者の人、信頼関係のない人にいろいろ否定されたり注意されたりする生徒だってしんどい。
何も言わないことが後々その子との関係性につながるってことが現場では何千事例ってあるんですよ。それは体験から学んだことなので、明確に打ち出しています。

寒竹:

ビジネスでもそうだと思います。わたしは「受け止める」という概念を大切にしているんですけど、発言や行動にはその人なりの背景や考えがあるんだろうなって思っています。

今井さん:

そうなんです。”謝らない”とかにも理由があるはずなんですよ。何も言わないっていうコミュニケーションもある。”受け入れる”、”否定せずに関わる”ことが基本的なコミュニケーションの概念として必要です。ツイッターとかでかんたんに言えちゃう環境がある中で、一歩立ち止まるのはマインドセットとして重要だと思っています。

寒竹:

イエス・ノーどっちかにしないといけないとか、アンチだと徹底的にたたくとかありますもんね。この活動をしていてうれしかったこととか、やっててよかったと思うエピソードってありますか?

今井さん:

いくらでもありますよ!関わった子が僕らの予測できないタイミングで急に成長するときがあって、そういう”人間の予測できない瞬間”をみるのがたのしい。だからそのために、つながりをつくっていくことを怠らない。
そういう努力とか、うすくてもつながっていると、ふとした瞬間に「学校に行った方がいいかな」「就職しようかな」と思う瞬間がある。
期待せずにみながら、ただ気に掛ける。うすくともつながっていく。細かくLINEとかメッセージとか頻繁に送っているんですけど、それも大事だと思っていて。予測できない変化、わからない瞬間をサポートしながらみるのが僕は楽しいですね。

行政や企業ができないことを。
「10代のセーフティーネットを再構築」

寒竹:

8年間活動されてきて苦労されたことや大変だったことはありますか?

今井さん:

経営は大変ですよね。寄付型の組織って子ども支援分野だと少ないです。D×Pは7割が個人寄付なんです。一緒に事業を作る仲間が欲しいとは常に思っています。
月額の会員さんを集めるのも、寄付者さんを集めるのも苦労しました。どうやったらちゃんと知ってもらえて、仲間になってもらえるかをずっと考えています。事業を実施しても、お金にならないものなので、最初は地獄のようでしたね。好きでやっていたので苦ではなかったんですけど、今考えるとずっと泥んこ状態で頑張っていた感じです。

寒竹:

それはご苦労されましたね。寄付で経営をすることを決めた理由ってありますか?

今井さん:

定時制高校で授業することもあるんですけど、もらえるお金だけで事業を継続していくことは難しいです。だけどそこにしかいない生徒はいるし、しんどい状況の子がいる。
それをするために、行政とか企業ではできないことが結構あるので、まずは寄付でモデルを作ろうと思ったんです。
その子たちと関わる、その先陣を切るためにも寄付を集めています。その中には「日本で10代のセーフティーネットを再構築したい」「それを多くの方と一緒に作っていきたい」という想いがありますね。

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